日々のストレスに悩まされ、多くの方が疲れています。疲労回復の手段の一つとして注目を集めているのが、サウナです。サウナには、あなたの健康を大きく改善する可能性があります。血行促進からストレス解消、免疫力向上まで、サウナの効果はさまざまです。
本記事では、疲れ切った体が生き返るような爽快感を味わえるサウナの魅力について解説します。美肌効果や生活習慣病リスクの低下など、長期的な健康増進も期待できます。サウナを通じて、毎日の疲れを癒したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
サウナの健康効果
サウナの健康効果として、下記の8点を解説します。
- 血行の促進
- ストレスの解消
- リラックス効果
- 免疫力の向上
- 生活習慣病リスクの低下
- 睡眠の質の向上
- 美肌効果
- 代謝の促進
血行の促進
サウナを通じて、血行の改善が可能です。サウナに入ると温熱効果によって凝り固まった筋肉がやわらぎ、筋肉への血流が増加します。血流が増加すると、疲労物質が強力に押し流されて筋肉疲労が回復することがサウナに入るメリットです。サウナに入ると心拍数が通常の2倍程度まで上昇し、血液循環が改善されます。
実際に、サウナに入ると疲労が回復するという研究結果があります1。
血液は疲労物質を回収するほかに、酸素や栄養を運搬する役割があります。血液循環が改善すると得られるメリットは、下記のとおりです。
- 筋肉疲労が回復する
- 抗酸化作用により疲れにくい体質になる
サウナに入ると万病の元とされる炎症が減り、活性酵素が減少することが報告されています2。日々の疲れを効果的に取り除くだけでなく、肩こりや腰痛などダメージを受けにくい体が手に入るのがサウナを習慣にする効果です。
ストレスの解消
サウナはストレス解消にも効果的です。サウナに入ると幸せに関連する脳内物質であるオキシトシンが分泌され、イライラ感が軽減します3。βエンドルフィン(快楽ホルモン)の分泌も促進され、心身の緊張が和らぎ、心理的な安らぎが得られます。日常から一時的に解放されるのもサウナの特徴です。
サウナの高温環境は瞑想的な効果をもたらし、精神的な安定を得られます。静かな空間で自分と向き合えるため、自己内省の時間も得られます。サウナは社会的なつながりを促進する場です。他の利用者との交流で孤独感が減ります。ストレスから一時的に離れる機会を得られるため、サウナは心身のリセットにも最適です。
リラックス効果
サウナにはリラックス効果があるのも特徴です。心と体の緊張をほぐし、ストレスを和らげます。サウナに入ると体が温まり、副交感神経系が優位になります。副交感神経系が活発化すると心拍数と血圧が下がり、体全体がリラックスするのもサウナの特徴です。
サウナ中は幸せに関連する脳内物質と呼ばれるオキシトシンの分泌が増え、安らぎを感じられます。サウナのリラックス効果は、下記のとおりです。
- 不安や落ち込んだ気分の軽減
- 心の落ち着きの回復
- 瞑想のような効果
- 睡眠の質の向上
サウナでリラックスすると、日々の忙しさから離れてゆったりとした時間を過ごせます。心も体も生き返るような感覚が得られるので、ストレス解消や気分転換に最適です。
免疫力の向上
サウナは免疫力も高めます。サウナに入るとHSP(ヒートショックプロテイン)4が活性化され、免疫細胞の修復をうながします。免疫細胞は体外から侵入した異物や病原体を攻撃する細胞です。結果として体の免疫システムの改善が可能です。サウナは他にも、リラックスしたり心因性のストレス軽減にもつながるため、間接的に免疫機能を向上させます。
サウナにより血液の流れを改善し、免疫細胞が体内をスムーズに行き渡るのも、免疫力が向上する要因です。サウナには体内の炎症を抑える効果や、リンパ液の流れを促進する効果もあります。定期的にサウナを利用すると、風邪、肺炎、インフルエンザなどの感染症にかかりにくくなります。
ただし体調が悪いときは無理をせず、医師に相談してからサウナを利用しましょう。
生活習慣病リスクの低下
サウナは、生活習慣病のリスクを下げます。サウナに入ると体温が上がり、血液の流れが改善されます。血液の流れが改善すると、体内の不要な物質が排出されるため、代謝の改善も可能です。サウナを利用すると、下記の生活習慣病の予防や改善が期待できます。
- 心臓病
- 高血圧
- 糖尿病
- 肥満
- 脳卒中
定期的にサウナを利用すると、コレステロール値や血圧が改善します。動脈硬化の予防にもつながるため、サウナはおすすめです。サウナはメタボリックシンドロームの予防にも効果があります。体内の炎症を示す物質が減少し、インスリンの働きが良くなるからです。
ただしサウナの使いすぎは逆効果になるため、適度な頻度で利用しましょう。
睡眠の質の改善
サウナに入ることで睡眠の質が改善します。サウナに入ると短時間で深い睡眠を得られるようになり、日中の眠気も防ぐことができます。実際、サウナに入ると75%の人に睡眠の改善効果があらわれたという研究結果があります5。夕方のタイミングでサウナに入ることで、交感神経から副交感神経への切り替えがスムーズになり、成長ホルモンがしっかり分泌された深い眠りを得やすくなるのです3。
自律神経のバランスが整うため夜中に目覚めにくくなり、安定した睡眠が得られます。不眠に悩んでいる方にとっても、サウナはおすすめです。睡眠後の疲労回復感が高まり、日中の眠気も軽減されます。仕事や日常生活でのパフォーマンス向上にもつながるため、サウナはおすすめです。
美肌効果
定期的にサウナを利用すると肌トラブルが改善され、本来の美しい肌を手に入れられます。サウナの美肌効果は、下記のとおりです。
- 皮膚の新陳代謝の促進
- HSP増加による細胞修復が促進
- 甲状腺ホルモンの増加
- 肌のバリア機能が正常化
- ニキビなど肌荒れの改善
ただし体質や肌の状態によって差があるので注意してください。サウナを楽しみながら、美肌効果を実感しましょう。
代謝の促進
サウナに入ると甲状腺ホルモンが増えるので、基礎代謝が向上します。基礎代謝が向上するとエネルギーを消費しやすい体になるため「やせ体質」になります。サウナのメリットは、脂肪燃焼の促進やホルモンバランスの改善などさまざまです。サウナで汗をかくと、体内の血液循環も改善されます。
実際に、サウナに入ると甲状腺ホルモンが増えるので代謝が上がり、やせ体質になるという研究結果があります7。
血液循環が改善されると、細胞レベルでの代謝が促進されます。体内の酵素も活性化されるため、代謝機能の向上も可能です。食事の後にサウナを利用すると、食事誘発性体熱産生も増加します。サウナを継続的に利用して、長期的に代謝機能を改善しましょう。
本当にやせるかどうかはサウナ前後の食事方法が重要となります。
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さまざまなサウナの種類と効果
日本のサウナ施設で代表的なサウナの種類として、下記の3点を解説します。
- フィンランド式サウナ
- スチームサウナ(ウェットサウナ)
- インフラレッドサウナ
フィンランド式サウナ
フィンランド式サウナは相対湿度が20%以上の湿度が比較的高いサウナのことです。通常ドライサウナが湿度20%以下と低湿度に対し、80〜90℃の中程度の温度と10〜20%の高湿度に保たれています。フィンランド式サウナの魅力は「ロウリュ」と呼ばれる行為です。ロウリュは、熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させてサウナ室内の湿度を上げることで体感温度が上昇し、より強い発汗を促します。
フィンランド式サウナで得られる効果は、下記のとおりです。
- 血液循環の改善
- 筋肉の緊張緩和
- 免疫システムの強化
- ストレスの軽減
- 心身のリラックス
サウナ発祥の地フィンランドの本来の様式に沿った伝統あるサウナがフィンランド式サウナです。多くのフィンランド人は、サウナの後に冷水に浸かったり外の空気に触れたりして、温度差を楽しみます。初めての方は短時間から始め、徐々に体を慣らすのがおすすめです。自分の体調や体力に合わせて、無理のない範囲でサウナを楽しみましょう。
実はフィンランド式サウナはウェットサウナに分類されます。よく勘違いされがちなドライサウナとの違いを詳しく学びたい人は、以下のリンクをタップして下さい。
スチームサウナ(ウェットサウナ)
スチームサウナは水蒸気でサウナ室内を温める方式のサウナのことです。温度は60℃程度、相対湿度は80〜100%程度あり、ドライサウナよりも肌に優しいのが特徴です。毛穴を開き血行を促進するため、リラックス効果も期待できます。高温低湿なドライサウナと比べて汗をかきやすく、体があたたまる効果も大きいため、体への負担が少なくてすみます。
心臓や循環器系への負担も比較的少ないので、サウナ初心者にもおすすめです。美容面でも効果が期待でき、肌の保湿効果があるため美肌づくりにも役立ちます。スチームサウナは、風邪予防や喘息症状の緩和にも効果的です。ただし利用する際は十分な水分を摂取しながら、適度な時間で楽しみましょう。
同じウェットサウナであるため、よく勘違いされがちなミストサウナとの違いを詳しく学びたい人は、以下のリンクをタップして下さい。
遠赤外線サウナ
遠赤外線サウナは、電気パネルから発せられる遠赤外線を使って体を直接温めるサウナです。通常は50〜60℃程度の比較的低い温度でも体を効果的に温めることができ、心臓への負担が少ないです。遠赤外線の作用により熱が体の奥深くまで浸透します。家庭用サウナでこの方式が多く見られます。
熱ストレスが小さいため、疲労回復やリラックス効果が高いといわれています。遠赤外線サウナで期待できる他の効果は、下記のとおりです。
- 肌が若々しくなる
- 脂肪が燃焼しやすくなる
- ストレスが解消される
- 睡眠の質が向上する
- 免疫力が高まる
利用時間は20~30分程度と長めですが、温度が低いので体への負担は通常よりも軽減されます。遠赤外線サウナは、健康や美容に興味がある方におすすめです。
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サウナの効果を高める利用方法
サウナの効果を高める利用方法として、下記の3点を解説します。
- サウナでの過ごし方
- 水分補給の重要性
- サウナ後のクールダウン
サウナでの過ごし方
サウナは健康に良い効果をもたらしますが、正しい入り方で健康効果を倍増できます。一般的に、サウナに入る時間は8〜12分程度が適切です。サウナ内では、リラックスした姿勢で深くゆっくりと呼吸しましょう。静かに過ごし、瞑想や軽い体操を行うと、心身のリラックスにつながります。
サウナを安全に楽しむために、下記の点に注意してください。
- 体調が悪くなったらすぐにサウナから出る
- 脈拍が平常時の2倍になったら出ることを意識する
- 会話は控えめにして施設のルールを守る
- 初心者は下段に座る
- サウナハットを使用して頭部を保護する
サウナの温度や湿度にも注意しましょう。時計やスマートフォンは持ち込まず、清潔なタオルを使用することが大切です。
サウナの後に水風呂や冷水シャワーを浴びて外気浴をすると、さらに効果が高まります。初心者はのぼせ帽子のためにサウナハットの使用がオススメです。
水分補給の重要性
サウナでは大量の汗をかくため、水分補給が大切です。脱水症状を防ぐために、サウナの前後に十分な水分を摂取してください。水分補給には、ミネラルウォーターや水が最適で、アルコールや甘い飲み物は避けましょう。外気浴とサウナの間に水分を補給すると、より長時間安全に利用できます。
適切な水分補給には、体温調節や疲労回復、電解質バランスの維持などの効果があります。水分だけでなく、失われた電解質も補給するのが理想的です。水分補給を忘れずに行い、サウナを安全に楽しみましょう。
サウナ後のクールダウン
サウナの後のクールダウンは、サウナの効果を最大限に引き出すためにも大切です。体を適切に冷まして安全に体温を下げると、よりリラックスできます。クールダウンの方法は、下記のとおりです。
- 水風呂に浸かるか冷たいシャワーを浴びる
- 外の新鮮な空気で外気浴する
- 水分を補給する
- ゆっくりと休憩を取る
上記の行為は体を清潔に保ち、リラックス効果を高め、筋肉をほぐします。冷たいタオルで体の一部を冷やしたり、冷たい飲み物で内側から体温を下げたりするのも効果的です。適切なクールダウンを行い、心地良い疲労感と爽快感を味わいましょう。
より詳しいサウナ・水風呂・外気浴のガイドラインは以下の記事で詳しく説明しています。
サウナを利用するときの注意点
サウナを利用するときの注意点として、下記の3点を解説します。
- 健康上の注意事項
- サウナでの安全マナー
- 適切な利用頻度
健康上の注意事項
サウナを楽しむ前に、健康面での注意点を知っておくことが大切です。持病のある方は、サウナ利用前に必ず医師に相談してください。下記の要件に該当する方は、サウナ利用時に注意が必要です。
- 飲酒後や二日酔い時
- 食事直後
- 体調不良時
- 高血圧や心臓病
- 妊娠中の女性
- 妊活中の男女
サウナ利用中は、自分の体調変化に注意を払ってください。めまいや吐き気を感じたら、すぐにサウナから出ましょう。長時間の利用は避け、体調に合わせて適度な時間で利用することが大切です。
サウナでの安全マナー
サウナを安全に楽しむためには、いくつかの大切なマナーを守る必要があります。まず、体調管理には気を付けてください。体調不良時や飲酒後のサウナ利用は避けるのが無難です。健康状態が良くないときにサウナに入ると、体調を崩す危険性が上がり死亡事故の事例まであります。適切な利用時間を守ることも大切です。
長時間のサウナ利用は控え、適度な時間で退出しましょう。初心者の方は5〜12分程度から始めるのがおすすめです。サウナでは大量の汗をかくので、脱水症状を防ぐためにも十分に水分摂取してください。他の利用者への配慮も大切です。サウナ内では静かに過ごし、大声での会話やスマートフォンの使用は厳禁です。
裸で入る場合は必ずタオルやサウナマットを敷くなど、衛生面にも気を付けることが大切です。熱中症のリスクを減らすためにも、サウナ室内での激しい運動は控えましょう。めまいや吐き気などの症状が現れたらすぐにサウナから退出し、涼しい場所に移動してください。
入室前後にシャワーやかけ湯をすると、毛穴が清潔に保たれ、サウナの発汗効果が高められます。貴重品の管理にも注意が必要です。必ず鍵付きロッカーに貴重品を保管し、盗難や紛失を防ぎましょう。
適切な利用頻度
サウナを健康的に楽しむためには、適切な利用方法を知ることが大切です。初心者・中級者に理想的な頻度は週に2〜3回程度です。1回のサウナ室滞在時間は8〜12分を目安にしてください。8~12分程度なら、サウナの効果を十分に得られながらも、体に負担をかけません。1日のサウナ利用は2〜3セットまでがおすすめです。
体調や経験に応じて、徐々に回数を増やしていくのがおすすめです。安全で効果的なサウナ利用のためにも、下記の点に注意してください。
- 体調に合わせて調整する
- 過度の利用を避ける
- 夜遅くの利用は避ける
- 定期的に休養日を設ける
- 毎日の利用はある程度慣れてからにする
上記の注意点を守ると、安全にサウナを楽しめます。自分の体調の変化に注意しながら、無理のない範囲でサウナを楽しみ、長期的な健康維持につなげましょう。
実は上級者は毎日入るのが最も健康に良いといわれています。
「入れば入るほどよい」とは言えないけれど、「毎日入るほうがいい」のは確かでしょう。
加藤容祟「医者が教える 究極にととのう サウナ大全」
まとめ
サウナは、私たちの健康とメンタルに多くの良い影響を与える素晴らしい習慣です。血液の流れを良くしたり、ストレスを和らげたりするなど、さまざまな面で心と体を支えてくれます。フィンランド式サウナやスチームサウナ、遠赤外線サウナなど、サウナにはいくつかの種類があります。
サウナごとに特徴があるため、自分に合ったタイプを見つけることが大切です。サウナの効果を最大限に引き出すために、適切な利用方法や水分補給に気を付けましょう。健康状態によっては注意すべき点もあるので、自分の体調を確認することも大切です。安全に楽しむためのルールを守り、サウナをぜひ楽しんでください。
参考文献・脚注
- The Consideration Of Melatonin Concentration and Subjective Evaluation, Journal of Physiotherapy & Physical Rehabilitation, 2016 ↩︎
- Cardiovascular and other Health Benefits of Sauna Bathing: A Review of the Evidence, Mayo Clinic Proceedings, 2018 ↩︎
- 小林弘幸. 医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣. Gakken. Kindle 版 ↩︎
- HSP(ヒート・ショック・プロテイン)は熱による刺激で活性化される特殊なタンパク質です。HSPにはダメージを受けたタンパク質を修復する働きがあります。サウナに入るとHSPという物質がでて細胞の修復を促します。 ↩︎
↩︎ - A hot topic for health: Results of the Global Sauna Survey, Complementary Therapies in Medicine, 2019 ↩︎
- 小林弘幸. 医者が教える 心と体が本当にととのう サウナ習慣. Gakken. Kindle 版 ↩︎
- Effects of Sauna and Glucose Intake on TSH and Thyroid Hormone Levels in Plasma of Euthyroid Subjects, METABOLISM, 1987 ↩︎
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